こんにちは。行政書士の石濵です。今回は遺言の内容に関して、法的に保護されるもの、されないものの解説をします。

 まず、少し法律と離れますが、遺言は故人から相続人等に対する指示書的な役割を持つものと同時に、故人の最後の手紙、最後の願い事となります。死ぬことを意識し、残された遺族に向けて筆を執る姿を想像すると、本当に気持ちが熱くなります。遺言書に残された内容はたとえ法的に保護されない部分であったとしても、遺族の方にはできる限り故人の希望を叶えてほしいと強く願います。
 一方で、残された遺族の生活も当然ながらありますし、故人の気が付かないところで故人に寄与というか、故人の為を思って身の回りのお世話をしていたとうような事もあり、すべて故人の思い通りにさせられない、させたくないという事も十二分にあり得ます。
 私は行政書士として、他人様の遺言と残された遺族に接することもありますが、生前の個人と遺族の関係性や接し方を実際に見てきたわけではないので、遺言の内容と遺族の言い分とに隔たりがあった場合、どちらかに肩入れすることはできません。粛々と、「法的に有効な部分は遺言の通り行い、法的に無効な遺言は遺族で話し合って無視しても構いません。」という立場で接することになります。ですので、せめて遺言作成者には遺言を残す際に熱い気持ちをもっているならば、必ず法令に乗っ取った形で作成するように心がけてほしいとおもいます。

遺言の内容について

 まず、遺言を作成するにあたり、内容は何を書いても構いません。例えば、「家族みんなで仲良くしてほしい」「葬儀は家族葬がよい。○○は絶対呼ぶな」「長男は離婚するな、長女は早く結婚しろ」「孫は野球部に入れて、ゆくゆくは中日ドラゴンズに入団させろ」など書くのは自由です。ですが、これらは法的には保護されません。保護される内容は大別すると、以下の3つになります。

  1. 相続に関すること
  2. 身分に関すること
  3. 財産処分に関すること

 それでは、それぞれ見ていきましょう。

1.相続に関すること

 これは遺産の分割についての内容となります。以下例を挙げます。
・推定相続人の廃除
・遺産分割の一定期間の禁止
・相続の分割割合の指定
・相続の分割方法の指定

2.身分に関すること

 相続人や相続関係人を指定するような内容となります。以下例を挙げます。
・未成年後見人、未思念監督人の指定
・遺言執行者の指定
・子の認知

3.財産処分に関すること

 財産の処分先、処分方法に関する内容です。以下、例を挙げます。
・遺贈
・寄付
・生命保険受取人の指定

今回はここまでです。また次回もよろしくお願い致します。