こんにちは。行政書士の石濵です。今回はテレビなんかで時々話題に上る運転免許証の返納の具体的な方法についてです。
私の祖母が現在80代の後半になりますが、70代の後半あたりから認知症がひどく、子や孫の名前がわからなかったり、自分が昔住んでいた家(もうすでに解体してありません)に帰りたがったり、夜中に思いついたように起きて、ふらっとどこかに行こうとしたり、自営業で経理を一手に引き受けていた昔の聡明なイメージが一切消えてしまいました。ですが、本人には一切の自覚がなく、「周りが自分に意地悪をする、悪くないのに怒られる。」と感じているらしく、言い合いになることがままあります。
祖母は運転免許とは縁がなく、車を運転したことが無い為交通事故の加害者となってしまう可能性は高くありませんが、「もし免許を保有していて、日常的に運転していたら」と考えるととても怖くなってしまいます。
日常的に運転をする高齢者が認知症になってしまった場合、今回解説する「運転免許証の返納」をしたとしても、その事実を忘れて運転してしまう可能性も当然あると思います。できることならば、認知症になる前に本人と家族で話し合って、あくまでも自主的に返納してほしいと思います。車に乗らない生活を続ければ、例え認知症と思われる症状が出たとしても「そうだ、運転しよう」とはならないかもしれません。
さて、本題の返納方法に入ります。
本人が自ら返納する場合
基本的には本人自ら返納の手続きを行うことになっています。傷病で療養中等の場合には代理人の返納もできますので 代理人が返納する場合 をご確認ください。
申請できる場所
地域の警察署(交通課)又は地域の運転免許更新センター
※できない場所や時間が限られている場合もあるため最寄りの警察署にご確認ください。
愛知県の場合は下記をご確認ください。
愛知県警HP 自主返納
必要なもの
返納する運転免許証
印鑑
※運転経歴証明書を交付希望の場合は併せて以下も必要
1100円分の印紙
証明写真(縦3cm×横2.4cm)
その他
申請窓口で返納したい旨を伝えると必要書類を手渡されるので、そこに必要事項を記入し押印します。その場ですぐに完結する簡単な書類です。
また、運転経歴証明書を交付の場合は返納時に即発行されるわけではなく、1週間~2週間後に再度受け取りに行くこととなります。
代理人が返納する場合
本人が返納することができない正当な理由がある場合には代理人による返納が認められています。代理人となれるのは3親等以内の親族及び高齢者が入居している病院や老人ホームの職員、福祉関係の有資格者、その他家庭裁判所によって認められた成年後見人などです。
なお、愛知県の場合は代理人が返納する場合は事前に委任者は委任状を、受任者は誓約書を記載する必要があります。他の都道府県においては必要な書類が異なる可能性があるため、一度警察署等へ確認することをお勧めいたします。
なお、委任状、代理人誓約書は下記からダウンロードできます。
愛知県警HPより 様式第31の2 委任状兼承諾書
愛知県警HPより 様式第31の3 代理人誓約書
申請できる場所
本人が返納する場合と同じとなっています。
必要なもの
委任状兼承諾書(都道府県によって異なる場合があります)
代理人誓約書(都道府県によって異なる場合があります)
返納する免許証
代理人の印鑑
代理人の身分証明書
自主返納者への地域の取り組み
当然のことですが、今まで日常的に運転をしていた人が、いざ運転をしなくなると多くの場合交通が不便になってしまいます。「健康の為に自転車を」となれば一番良いのでしょうが、遠方へ赴くには公共交通機関又はタクシーを利用するケースも増えるのではないかと思います。
そのために多くの地方公共団体で、免許自主返納者に対し行政サービスを行ています。詳細は最寄りの市役所等に確認してください。
ちなみにわが町東海市では下記のようなサービスを受けることができます。(条件を満たした場合)
① 75歳未満の方→らんらんバス(市バス)の特別無料乗車券配布
② 75歳以上の方→タクシー利用助成券(2,000円分)の進呈
参考 東海市運転免許証自主返納支援事業
今回はここまでとなります。また次回もよろしくお願い致します。