こんにちは。行政書士の石濵です。今回も前回に引き続き相続に関する民法の解説を行います。今回は相続放棄についての条文です。宜しくお願い致します。
第938条(相続の放棄の方式)
相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
前回にもお話しましたが、限定承認及び相続放棄に関しては家庭裁判所で手続きを行う必要があります。期限は「自己の為に相続があることを知った時から3か月以内」です。その間に手続きをしなければ単純承認をしたとみなされる場合がありますのでご注意ください。
第939条(相続の放棄の効力)
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
これも以前にお話ししたことがあります。相続の放棄は、一旦財産を引き受けた後に財産を放棄するわけではなく、相続開始の時に遡って初めから相続人ではなかったものと扱われます。相続人ではないのですから代襲相続なんかもありません。
第940条(相続を放棄した者による管理)
①相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
②第645条、第646条、第650条第1項及び第2項並びに第918条第2項及び第3項の規定は、前項の場合について準用する。
②第645条、第646条、第650条第1項及び第2項並びに第918条第2項及び第3項の規定は、前項の場合について準用する。
この条文の趣旨は限定承認について書かれている第926条と全く同じです。相続人となるものにいずれ明け渡す必要がある為、このような規定になっています。
②に関しては、第926条での説明の繰り返しになりますが、第645条=受任者による報告、第646条=受任者による受取物の引き渡し等、第650条=受任者による費用等の償還請求等、そして第918条=相続財産の管理となります。
相続放棄に関してはこの3つの条文で終了です。キリが良いので今回はここまで。次回も宜しくお願い致します。