こんにちは。行政書士の石濵です。今回は遺言に関する民法の解説です。
 今回は民法上に定められた遺言(“ゆいごん”ではなく”いごん”といわれることが多いです)についての解説をしますが、一般論として、「個人が死ぬ前に残した、これからも生き続ける人に向けたメッセージ」という意味合いもあり、遺言=法律行為というわけではありません。むしろ、形式にとらわれない方が、残された人に意思を伝えやすく、また、言葉の選び方も個性がでるので、より一層故人の本音に近いものが出せます。
 ただ、遺言によるトラブルが多いのも事実です。刑事系テレビドラマでは、多くの作品で遺言、遺産相続のトラブルによる事件の描写がありますし、子供向けアニメの題材になっていることもありました(名探偵○○○とか・・)。
 自らの意思を残された方に、ただ伝えるのではなく、伝えたうえで最大限に尊重してもらうのであれば、遺言に関するルールをきちんと知っておいた方がよいでしょう。
 また、遺言を実際に書いてみたい方はこちらも併せてご覧ください。
石濵事務所 遺言作成のススメ
https://ishihamajimusyo.com/entry8.html
石濵事務所 遺言作成支援
https://ishihamajimusyo.com/category1/entry9.html

それでは内容にはいります。

第960条(遺言の方式)
遺言は、この法律の定める方式に従わなければすることができない。

 遺言は決められたルールに従わなければすることができない旨が記載されています。ただ、「遺言」という言葉は幅広い意味合いがあり、ルールに乗っ取っていない遺言は無意味な存在であるという意味ではありません。
 あくまでも、「民法上の保護対象にならない」という意味に捉えましょう。

第961条(遺言能力)
遺言は15歳に達した者は、遺言をすることができる。

 民法上では、「年齢18歳をもって、成年とする」という条文があり、成年に達しない者の法律行為(契約なんか)は一部を除き法定代理人の同意が必要となります。
 この条文は、「未成年であるにも関わらず、15歳を超えた自らの意思で遺言という法律行為ができる」という民法上の「成年」部分に対する緩和的意味合いが強いといわれています。

第962条(遺言能力②)
第5条、第9条、第13条及び第17条の規定は、遺言については適用しない

 第962条に挙げられた条文を簡潔に説明すると次のようになります。
①第5条 未成年が法律行為を行う場合、一部を除き法定代理人の同意が必要
②第9条 成年被後見人の法律行為は一部を除き取り消すことができる
③第13条 被保佐人が一定の行為をする場合は保佐人の同意が必要
④第17条 被補助人が一定の行為をする場合は補助人の同意が必要
 これらに挙げられる、未成年(15歳以上)、成年被後見人、被保佐人、被補助人というような一定の保護が必要な方でも遺言を残すうえで不必要な制限をかけないことが述べられています。ただし、「自分の書いている遺言の内容が理解できない」状態で遺言を残すことはできません。次条では、そこに対し制限をかけています。

第963条(遺言能力③)
遺言者は、遺言をするときにおいて、その能力を有しなければならない 

 遺言は、年齢制限の他に「遺言を残すときに、自分の残す遺言をきちんと理解できる程度の能力」が無ければいけません。例えば、認知症のおばあさんに、息子や娘が手取り足取り自分の都合の良い内容を書かせても、法的に効力を持った遺言とはなりません。
 なお、これは遺言を今まさに書いている状態の時に必要な能力であり、遺言作成後に自分の書いた遺言が理解できない状態になったとしても、当該遺言が無効になるようなことにはなりません。

 今回はここまでとします。次回もよろしくお願い致します。