こんにちは。行政書士の石濵です。今回は終活に関する内容として、エンディングノートに記載するべき内容に関して解説します。
 終活に関する説明の「終活ってなに?①」でも簡単に述べましたが、エンディングノートとは、自分の人生を締めくくるにあたり、自分以外の方に知っておいてほしいこと、伝えたいこと、自分の様々な問題に関する意思等をひとまとめにしておき、自分が大病を患ったり認知症になったりして意思の表示がうまくできなくなってしまった時に自分の希望を知ってもらうために「自分の信用できる人(キーパーソン)」に託す自分に関する資料のことです。
 このエンディングノートは、遺言状の用に法律によって保護されるようなものではありませんので実現されるかどうかの確証はありませんが、いざ自分が意思表示できない状態になってしまった時に相手に自分の意思を伝える唯一の手段になってしまう可能性があるため、多くの方に作成をお勧めしています。

どのようなエンディングノートを買えばいいの?

 今や多くのメーカーがエンディングノートを作成し、本屋や文具店に数多くの商品が並んでいます。その中のいずれか気に入ったものを使用すれば構いませんが、市販の物を使用しなくても、伝えたいことを余さず記載できるのであれば、お金を出して購入しなくても良いのかもしれません。

記載すべき内容は?

①大切な人へのメッセージ

 キーパーソンがエンディングノートを実際に見る時は、すでにあなたが意思表示できない状態になっている場合がほとんどで、もしかしたらすでに亡くなっている事も十分に考えられます。
 当然、キーパーソンやその他親族、友人、恩人などに感謝や謝罪、思い出話や頼みごとができる最後の機会になってしまいます。是非とも思いつく限りの人に、伝えたいことを書きましょう。どのような書き方でも構いません。実際的な文章でなくとも、自分の思うままの内容を書いてください。

②医療、看護、介護に関すること

 ここからは実際的なこととなります。
 自分が意思表示できない状態になた場合に医療従事者や介護従事者に伝えるべきことや、かかりつけ病院について、服用している薬について、などなど現場の方が困らなくても済むようにわかりやすく記載してください。具体的には次のような内容を記載すると良いでしょう。

・自分に関する基本情報(氏名、年齢、生年月日、住所、自宅の電話番号等)
・お体に関する基本情報(血液型、持病、アレルギー等)
・かかりつけ病院の情報(院名、電話番号、主治医等)※複数ある場合は複数記載
・服用している薬の情報(薬の名称、対象となる症状、服用時間及び量等)
・病気の告知の希望(告知の有無、余命の告知は必要か等)
・延命治療の希望(延命治療は必要か、緩和ケアや胃ろうの希望等)
・脳死状態になったときの臓器提供の希望
・介護施設の希望(家族による介護を希望する場合はその旨)
・介護担当者への伝達事項(お礼のメッセージ、自分の性格等)
その他、必要だと思われることは余さず記載することをお勧めします。

③財産に関すること

 財産については、別途遺言書(及びその添付資料として財産目録等)を作成しているのであれば、エンディングノートに多くの事を記載する必要はないと考える方もいるでしょう。
 しかし、せっかく遺言書を作成しても後々発見されなかったというケースもあり得ますので少なくとも遺言書の存在については触れておいた方が良いと思います。
 それから、そもそもの話ですが自分の意識があいまいになったしまったとしても、自らの医療に関すること、介護に関することは続いていきます。場合によっては何十年も医療、介護を続ける可能性もあり、例え遺言状に財産に関する記載があったとしても、遺言状が読まれる前に親族が金銭面で困ることも十二分に考えられます。親族の事を考えるのならば、やはり生前から金銭面の事もある程度明らかにしたうえで医療、介護を受けるべきでしょう。具体的には以下の内容を記載してはいかがでしょうか。

・任意後見人について(すでに後見契約をしている者がいるか等)
・財産管理契約について(現在、財産の管理を託している者がいるか等)
・預金について(金融機関名、通帳の保管場所、印鑑の詳細、概算金額等)
・株式について(名称、株数、管理機関名等)
・債権について(お金を貸していれば誰か、金額、連絡先等)
・債務について(お金を借りていれば誰か、金額、連絡先、その他ローン詳細等)
・不動産について(登記識別情報の保管場所、不動産の詳細等)
・生命保険、損害保険等の加入について(保険の種類、保険会社、証書の保管等)
・その他資産の状況(絵画、骨とう品、アンティーク等の詳細)
・年金の状況(公的年金、個別年金に関する詳細等)
・クレジットカードについて(契約会社名、カード番号、決済口座等)
その他、必要だと思うことは余さず記載することをお勧めします。

④葬儀等に関する希望

 実際に亡くなってから葬儀をするまでの時間は本当に短く、また周囲の親族も憔悴していることも多く、遺族が葬儀会社の言いなりに内容を決めてしまうケースも決して少なくありません。事前に希望を伝えることにより、残された親族の手間も省くことができます。具体的には次のような内容を記載すると良いでしょう。

・葬儀について(葬儀を行うかどうか、場所、規模、呼びたい人等)
・宗教について(方式、希望の寺院や教会、戒名等)
・遺影について(すでに選んである場合はその場所等)
・葬儀中の映像、音楽等
・すでに葬儀の契約をしてある場合はその内容
その他、必要だと思うことは余さず記載することをお勧めします。

⑤その他の希望

 そのほかにも、書くべきことが多々あるはずです。ペットを飼っているのであれば、世話の仕方やかかりつけ獣医、餌の内容、散歩の有無、引き続き飼ってくれる方の名前等を記載すべきですし、携帯電話の詳細や賃貸物件に住んでいる人はその管理会社に関すること等、あとはパソコン等のデータに関することやSNSのIDやパスワード等も必要があれば記載すべきでしょう。
 メールや手紙に関しても、読まずに破棄や消去してほしいのような希望があればできる限り記載した方が良いでしょう。

今回はここまでです。ご覧くださりありがとうございました。