こんにちは。行政書士の石濵です。当ブログのメインの一つとして相続に関する民法条文の解説をしていますが、今回取り上げるのは、相続を行うもっと前のステップとして、ぜひ皆様に実行していただきたい「終活」というものです。
 終活というと遺言を思い浮かべる方が非常に多いです。遺言によって、自分の死後、今まで築き上げてきた財産をどのように配分、処分するかを考えることももちろん終活の一つであり、最も考えなければいけない事かもしれませんが、それ以外にも決めておくべきものは多々あります。例えば、自分のお墓のことや葬儀に関すること、もっと言うと亡くなるよりも早い段階で必要となる介護や医療機関について、どうするか、またそれらを取りまとめるのは長男にするのか長女にするのか(当然のことながら本人の同意が無ければ、いざその時になって自分の思い通りにいかないかもしれません)も含めて考える必要があります。
 ざっと思いつく範囲で考えておいた方がいいような内容を挙げてみますと、

  • 老後は誰の家で暮らすのか(一人又は夫婦で暮らすにも認知症等の理由で限界があります)
  • 認知症になってしまった場合、お金の管理はどうするのか
  • 介護が必要になった場合、諸手続きは誰がするのか
  • 重病を患った場合は延命治療はどうするのか
  • 万が一の時の連絡先はどうするのか
  • 喪主は誰にお願いするのか
  • 葬儀会社はどうするのか
  • 葬式の規模はどうするのか
  • お墓はどこにするのか

ちょっと考えただけでもかなりの数になってしまいます。

エンディングノートについて

 今、文具メーカーや葬祭業者などから「エンディングノート」と呼ばれるものが発売されています。エンディングノートは法的に保護されるようなものではないので、メーカー各々が様々な内容のものを発売しているので、本屋さん等で一度見てみるのも良いかもしれません。
 エンディングノートを書く際に理解していただきたいのは、エンディングノートを人に託す場面とは、ほとんどの場合「自分が主体的に意思表示できない場面」とイコールになっていることです。具体的には認知症等の理由で裁判所から後見開始の審判を受けているかそれに準ずる状態、又は急遽の事故等でなくなってしまうか意識が無い状態であることが考えられます。ですので、エンディングノートをただ作成して押入れにしまっておくのではなく、信頼できる「キーパーソン」にすでに作成したエンディングノートを渡しておく必要があります。
 また、先ほども述べましたが、エンディングノートは法律で保護されるようなものではなく、あくまでも本人の希望が書かれているノートにすぎません。市販されているエンディングノートは単純に書いた方が良い事柄のフォーマットにすぎない為、大学ノートや便せんを使用しても全く構いません。

じゃあ、だれがキーパーソンになるの?

 単純に自分の意思を伝えるだけなら同居しているか、近くに住んでいる親族になります(当然のことながら年齢が自分と近い方、持病のある方はお勧めしません)いなければ遠くに住んでいる親族も候補に挙がってきます。。
 但し、例え親族であっても自分と折り合いの悪い方には任せることなんてできませんし、相手も断ることが予想されます。また、後見人の指定や財産管理がある場合は非常に専門的な知識が必要となってきますし、老人ホームや介護サービスの契約のように手続きが煩雑なものもあります。
 同居又は近所に住んでいる親族で、気を許せる方がいない場合は弁護士や司法書士等の専門家を頼ってみてはいかがでしょうか。

キーパーソンの仕事の例

 キーパーソンのやるべき仕事は、エンディングノート等に書かれている内容によって異なりますが、基本的には適宜専門家や業者と連絡を取り、依頼主の希望を伝え事務を行うことです。例を挙げますと

  • 後見人の手配
  • 財産管理人の手配
  • 介護施設との契約
  • 医療に関する情報の整理
  • 葬儀の手配
  • お墓の手配
  • 相続の手配

 など様々なことが挙げられます。
 注意すべきなのは、キーパーソンの仕事は依頼者が認知症を発症したり、亡くなった後に動き出せばよいものばかりではありません。上に挙げた後見人の手配の際に「任意後見人」として指定する人物を後見人にする際にはあらかじめ依頼人と任意後見人を受任する方で契約を結ぶ必要がありますし、財産管理を他人に委任する場合でも同様です。また、亡くなった後の事務(死亡届の提出や遺体の引き取り、依頼者の年金や健康保険等の手続き等)に関しても、「エンディングノートに書いてあったから」だけの理由では実際に行うことができず、別途委任の契約が必要となってきます。

 次回から数回に分けて、後見人についてや死亡した後の事務についての具体的な解説や実際に何をすべきかを解説します。
 では、次回もよろしくお願い致します。