こんにちは。行政書士の石濵です。今回は建設業許可の申請の流れについて説明します。提出書類がかなり多い為、お忙しい方だと作成、提出が困難かもしれませんが、できないことはありません。また、一度自らチャレンジしてみてダメなら専門家に依頼するのもアリかと思います。ですが、どうしても時間が無駄になってしまいますので、時間がもったいないと感じるのであれば初めから専門家に依頼するのも良いと思います。それでは、順に見ていきます。
申請の流れフロー図
申請の流れを簡単な図にしました。まずは流れを知ってください。
大まかにこのような形になります。ステップは少なく、簡単に感じるかもしれませんが、申請書類が非常にボリューミーで専門的な用語も少なくなく、初めて作成する時は非常に苦労します。また、継続申請の場合も前回の申請から通常5年が経過している為、忘れてしまった部分も多いのではないでしょうか。
では、個別に見ましょう。
申請内容の決定
まずは、29業種のうち、どの業種の許可が必要なのか決定します。複数業種の同時申請も可能ですし、いずれ追加申請するつもりがあるのであれば一度に行う方が費用も安く済みます。但し、経営業務の管理責任者及び専任技術者はそのいずれの業種も条件を満たす必要がありますのでご注意ください。(例えば土木と塗装の許可申請をする場合、経営業務の管理責任者は土木と舗装両方の経営経験が5年あるか、いずれか、もしくはその他の建設業の経営経験が6年必要となります。)
業種に関してはコチラ
そして次に許可の種類を決めます。営業所の数及び場所を定めた上で都道府県知事許可か国土交通大臣許可かを決め、下請け契約の如何によって一般建設業許可か特定建設業許可かを決めます。もちろんそれぞれの要件を満たしているかの確認も忘れずに。
許可種類の決め方はコチラ
申請書類の入手
次に申請書類を入手します。愛知県の場合は、以下のページからダウンロードすることができます。https://www.pref.aichi.jp/toshi-somu/download/DL_PAGE-kyoka.html
愛知県HP 建設業許可様式ダウンロードページ
なお、いずれの免許でも様式は同一のものを使用しますが申請手数料が異なります。
(参考)
愛知県知事許可 新規の場合 90,000円(愛知県証紙)
国土交通大臣許可 新規の場合 150,000円(収入印紙)
また、フロー図にもありますが、主たる営業所の位置によっては県知事許可と大臣許可で提出場所が異なります。愛知県の場合は、以下をご参考ください。
県知事許可の場合
主たる営業所の所在地を管轄する建設事務所等 コチラをご参考ください
(愛知県HPより)
国土交通大臣許可の場合
基本的には都市総務課建設業第二グループ(自治センター2F)となります。但し、豊橋市、豊川市、蒲郡市及び田原市の区域は東三河建設事務所へ、新城市及び北設楽郡の区域は新城設楽建設事務所へ提出することができます。
申請書類の作成
いよいよ申請書類を作成します。わかりやすいように一覧にまとめました。
様式番号 | 書類の名称 | 新規 | 更新 | 摘要 |
– | 表紙・裏表紙 | ○ | ○ | 申請者情報び一般・特定の選択を記載します。 特に難しくありません。記載例に従って書きましょう。 |
1 | 建設業許可申請書 | ○ | ○ | 申請者の詳細情報を記載します。記載すべき部分を記載例でしっかり確認してください。 |
別紙1 | 役員の一覧表 | ※○ | ※○ | 法人の場合のみ作成してください。ここでは一般的な役員のみでなく株主(5/100以上所持)や相談役等の記載も必要となります。記載例をよく読んでください。 |
別紙2① | 営業所の一覧表(新規) | ○ | × | 主たる営業所及び従たる営業所の詳細を記載します。 |
別紙2② | 営業所の一覧表(更新) | × | ○ | 別紙2①と同じような内容ですが、別紙2①よりも簡略化されています。 |
別紙3 | 県証紙貼り付け | ○ | ○ | 県知事許可では県証紙を、大臣許可ならば収入印紙を貼り付けます。金額は用紙に記載があるのでしっかり確認してください。 |
別紙4 | 専任技術者一覧表 | ○ | ○ | 専任技術者のいる営業所や専任技術者名、資格区分を記載します。簡素な用紙ですが、この内容を証明する資料が別途必要となりますのでご注意ください。 |
2 | 工事経歴書 | ○ | ○ | 今までどのような工事を請け負ってきたか、またその金額などを記載します。実績が一切なくても「該当工事無し」と記載し提出しなくてはなりません。 |
3 | 直前3年の各事業所における工事施工金額 | ○ | ○ | 許可を受けたい工事は詳細まで、それ以外の工事はまとめて施工金額を記載します。法人の場合と個人の場合で若干記載内容が変わります。 |
4 | 使用人数 | ○ | ○ | 申請時点での使用人の人数を記載します。 |
6 | 誓約書 | ○ | ○ | 申請者及び役員等が欠格事由に該当しないことの誓約書です。 |
7 | 経営業務の管理責任者証明書 | ○ | ○ | こちらに詳細を記載後、更にそれを証明する資料が必要となりますのでご注意ください。 |
別紙5 | 経営業務の管理責任者の略歴書 | ○ | ○ | 管理責任者の履歴書のようなものです。今までの経歴、賞罰等を記載し署名押印をします。 |
8 | 専任技術者証明書 | ○ | ○ | こちらに詳細を記載後、更にそれを証明する資料が必要となりますのでご注意ください。 |
別紙6 | 専任技術者としての資格を有することを証明する資料 | ○ | ○ | 専任技術者の申請を実務経験でするのか資格によってするのかによって異なります。実務経験であれば卒業証書+実務経験証明書等、資格であれば資格者証の写し等が必要となります。 |
11 | 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表 | ○ | ○ | 建設業法施行第令3条に規定する使用人とは、各営業所の代表者(主たる営業所を除く)や支配人です。職名や氏名等を記載します。 |
12 | 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書 | ○ | ○ | 別紙5に記載された者以外の役員全員の詳細を記載します。場合によっては役員以外のものも必要となる為要確認です。また、全員分の「登記されていないことの証明書」及び「身分証明書」も併せて必要です。 |
13 | 建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、生年月日に関する調書 | ○ | ○ | 様式11に記載された方の詳細を記載します。様式7及び12に記載されている方は重複する為必要ありません。 |
14 | 株主(出資者)調書 | ※○ | ※○ | 提出するのは法人のみとなります。議決権の5/100以上の株主又は出資者の情報を記載します。 |
15・18 | 貸借対照表 | ○ | ○ | 建設業以外の事業を併せて営んでいる場合は、その事業の営業取り引きに係る資産について、その内容を示す適当な科目をもって記載することになります。 |
16・19 | 損益計算書 | ○ | ○ | 建設業とそれ以外の内容を分けて記載します。 |
17 | 株主資本変動計算書 | ※○ | ※○ | 法人のみ記載します。基本的には貸借対照表を確認しながら記載することになります。 |
17の2 | 注記表 | ※○ | ※○ | 法人のみ記載します。基本的には税理士さんの作成した確定申告用の財務諸表に添付されていますので確認しながら記載してください。 |
17の3 | 付属明細表 | ※○ | ※○ | 株式会社のみ必要となります。資本金もしくは直前の貸借対照表の負債額によって退出する場合と必要ない場合があります。 |
20 | 営業の沿革 | ※○ | ※○ | 会社の履歴書です。照合又は名称の変更、組織の変更、合併または分割、資本金額の変更、営業の休止再開等を記載します。 |
20の2 | 所属建設団体 | ※○ | ※○ | 団体に所属している場合は団体名及び加入年月日を記載します。加入していなくても提出必須です。 |
20の3 | 健康保険の加入状況 | ※○ | ※○ | 健康保険等の加入状況の詳細を記載します。なお、こちらの様式はすでに提出済みの場合で平成28年6月1日以降に状況の変動があった場合、許可申請の前に本様式のみ事前に提出する必要があります。 |
20の4 | 主要取引金融機関名 | ○ | ○ | 主要取引の金融機関名等を記載します。なお、新規申請の場合は他に残高証明書等が必要となる場合がある為、確認が必要です。 |
その他 | 登記されていないことの証明書 | ○ | ○ | 様式7(執行役員は除く)及び様式12、13(顧問、相談役、株主を除く)に記載のある方全員分が必要となります。 |
その他 | 身分証明書 | ○ | ○ | 様式7(執行役員は除く)及び様式12、13(顧問、相談役、株主を除く)に記載のある方全員分が必要となります。 |
その他 | 定款 | ※○ | ※○ | 法人の場合のみ必要となります。 |
その他 | 履歴事項証明書 | ※○ | ※○ | 法人及び個人事業主で支配人の登記がある場合は提出する必要があります。 |
その他 | 納税証明書 | ○ | ○ | 事業税の納付金額及び納付済み額の記載のある証明書が必要です。なお、県税事務所発行のものとなります。 |
以上の書類を纏めたものを、正本と副本2部で計3部用意します(県知事許可の場合)。副本は写しでも可能ですが、印影の写しは不可となっていますのでご注意ください。
非常に多くの書類が必要になる事は理解して頂けたと思います。記載方法は県のホームページに例がありますので参考にしながら作成しましょう。https://www.pref.aichi.jp/toshi-somu/download/DL_PAGE-kyoka.html
愛知県HP 建設業許可様式ダウンロードページ
管轄の行政庁へ提出
書類がすべて整ったら管轄する行政庁へ提出します。但し、と同府県知事許可と大臣許可では管轄が違う場合がありますのでご注意ください。愛知県の提出場所は以下の通りです。
県知事許可の場合
主たる営業所の所在地を管轄する建設事務所等 コチラをご参考ください
(愛知県HPより)
国土交通大臣許可の場合
基本的には都市総務課建設業第二グループ(自治センター2F)となります。但し、豊橋市、豊川市、蒲郡市及び田原市の区域は東三河建設事務所へ、新城市及び北設楽郡の区域は新城設楽建設事務所へ提出することができます。
行政庁の審査
書類を管轄する行政庁の窓口に持参すると、まず窓口で申請書類のチェックがあります。ここで申請書に何らかの不備があった場合、「補正」を命じられることになり、その場で受付ができません。求められた補正をし、再度窓口へ提出すると、受付印が押された状態で副本の返還があります。ここまでで、一応の受付(受理)が完了しました。
許可通知の受領
申請した内容に問題が無ければ、所定の期間を経て、許可通知が郵送されます(場合によっては申請を提出した行政庁まで受け取りに行くところもあるみたいです。)
ここで受け取った許可通知は再発行できない大切な書類になるので、しっかりと保管してください。
駆け足でしたが、簡単に建設業許可申請の流れを解説しました。
繰り返しになりますが、行政庁のHPにある「建設業許可申請の手引き」をしっかりと読み、わからない所を都度行政庁に確認し、時間をかければ自分の力で許可申請を行うことも十分に可能です。但し、建設業の一番大事な仕事は許可申請ではなく受注した工事を円滑に行うことです。
労力と費用対効果を踏まえ、場合によっては専門家に依頼をすることをお勧めします。その際に選択肢の一つとして、ぜひ「行政書士石濵事務所」を頭に入れてください。