こんにちは。行政書士の石濵です。今回は公共事業を元受けとして受注を希望する場合は避けて通ることができない経営状況分析について解説します。
 建設業が公共事業を元受けとして受注する場合は、「経営事項審査」というものを受ける必要があります。
具体的な経営事項審査の流れですが
①経営状況分析
②経営規模等評価申請(こちらを単体で経営事項審査と表現する場合もあります)

この二つの申請を経て、「総合評定値」を取得し、その値によって会社のランクが決められ、このランクに応じて公共工事の入札に参加できるかどうかが決められます。
 ランクが低いと、入札に参加することができません。なお、ランクの区分けは官公庁によって決められます。
 ちなみに、総合評定値を証明する書面として「総合評定通知書」というものを受領し、これを入札時に総合評定値の証明として利用しますが、この期限は
当該総合評定を算出した年度の決算日から1年7か月
となっています。基本的には年度終了後に数か月かけて必要書類を作成し、審査を行う為、毎年入札に参加する場合は毎年経営事項審査をおこなうこととなります。受付は、これまた建設業許可を受けた業者が必ず行うこととされている「事業年度終了届」の届け出の際に行うため、経営事項審査をど忘れしてしまうことは意外と少ないのではないでしょうか。
 今回は二つの申請の一つ、経営状況分析について見ていきたいと思います。

経営状況分析を行う機関

 さて、経営状況分析を行うにあたり、分析を行う機関を決定します。「総合評定値」を算出するのは地方公共団体が行いますが、経営状況分析は国土交通大臣の登録を受けた機関が行います。いくつかの機関があり、その多くは株式会社ですので役所とは対応の仕方は若干ことなります。

国土交通省 登録経営状況分析機関一覧
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000091.html

 なお、分析機関を年毎に変更することも可能ですが、おすすめできません。実は、提出書類として当該事業年度含めて過去3年分の財務諸表を提出する必用がありますが、継続の場合は当該年度分の財務諸表の提出のみで事足りるからです。
 私は、こちらでお世話になっています。

一般財団法人 建設業情報管理センター
http://www.ciic.or.jp/
対応が非常によく、コロナ渦中にありながらわずか数日で分析結果を頂きました。システムも勝手がよいと思います。

提出書類

 以下が一般財団法人 建設業情報管理センターで分析を行う場合の提出書類になります。別の機関でも概ね同じような書類が必要となりますが、必ず提出機関でご確認をお願い致します。
① 経営状況分析申請書
② 審査基準日直前の財務諸表(初めての分析時は当該財務諸表含め過去3年分必要)
③ 減価償却を確認できる書類
 法人の場合は財務申告別表16(1)、16(2)及び実施額が確認できる書類
 個人の場合は青色申告書一式又は収支内訳書一式及び実施額が確認できる書類の写し
④建設業許可通知書又は建設業許可証明書の写し
⑤委任状(行政書士が対応する場合)
⑥兼業事業売上原価報告書
⑦換算報告書(決算期変更等で登記決算が12か月に満たない場合)

以上の書類を定められた方法(電子申請、郵送等)によって提出し、不備が無ければ数日~数週間で「経営状況分析結果通知書」が発行されます。これは経営規模等評価委申請の際に使用します。

 この経営状況分析の費用は概ね10,000弱から15,000程度となります。分析機関や申請方法によって金額が異なりますので各機関にご確認ください。

 経営状況分析の解説は此処までとします。それほど難しい書類は不要ですが、兼業している場合や複数の建設業許可を受けている場合は財務諸表の作成が非常に困難なものとなるケースが多くあります。顧問税理士、顧問行政書士がいる場合はそれらと協力し、対応しましょう。それでは、次回もよろしくお願い致します。