こんにちは。行政書士の石濵です。前回に引き続き、HACCPの具体的手法を解説します。今回は④製造工程図の作成、⑤製造工程図の確認までです。なお、⑥危害要因の分析以降の手順はHACCPの核となるべき部分で、ここに入る前の①~⑤はいわゆる前準備と言われています。ですが、ここまでの前準備をおろそかにしてしまうと食品の安全を確保する為に「何を管理してよいのか」が捉えられず、後の工程で時間がかかってしまったり、下手をすると見当違いの方向に向かってしまう可能性があります。前準備として、正しい情報をつかみ、それを一般化することがかえって安全確保の近道なのです。

④製造工程図の作成

 まず④の製造工程図の作成です。これを作成する理由ですが、②で作成した製品説明書と同じく自社の現状を把握することにあります。これも手引きに例がありましたので、この手引きに沿って現状の製造工程手順を書き出してください。

厚生労働省HPより HACCP導入の為の手引書【乳・乳製品編】
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000098990.pdf

 ここでは注意して頂きたいのが、「理想としている製造工程」ではなくあくまでも「現状の製造工程」を記載してください。この製造工程図は人に見せることがあるかもしれませんが、ここで現状に即していない工程を記載してしまうと、後々「危害要因」を探す際に本来であれば本来管理すべき「危害要因」に気が付かず、見逃してしまい結果として衛生事故を起こしてしまう可能性があります。もっと言うと、衛生事故を起こした後も誤った製造工程図を見て原因がわからくなってしまう可能性すらあります。
 もう一つ気を付けることとして、自らの作成した製造工程図が、その工程を熟知していない人にもに理解できることが必要です。工程内でのみ通用する用語等は避け、相手に伝わりやすい言葉をできる限り選んで使用してください。

⑤製造工程図の確認

 次に⑤の製造工程図の確認です。これは④の図が正しいのかどうかの確認作業です。実際に④で作成した製造工程図が正しいのかどうか、また十分なのかどうか実際に現場を確認しましょう。
 ここで注意して頂きたいのは、HACCPメンバー全員で業務を通しで確認し、その間メンバーは絶対に実作業を行わず確認作業に専念することです。普段自らが行っている業務を外から見ることによってはじめて気が付くこともありますし、この工程の業務を良く知らないHACCPメンバーからの質問に答えなくてはならないからです。
 この後、HACCPメンバー内で業務に関する知識を共有しながら作業公工程図にそって作業工程を確認し、実作業と作業工程図に整合性が取れなくなった場合は、再度④の工程に戻りましょう。つまり”④で作成し→⑤で検証し→④に戻り修正し→⑤に戻り再検証する”これを繰り返し、製造工程図の完成度をより高めます。

今回はここまでとなります。次回も宜しくお願い致します。