こんにちは。行政書士の石濵です。今回は食品トレーサビリティシステムについて紹介したいと思います。
皆さんは食品トレーサビリティと聞いてぴんときますか?多分ほとんどの人がぴんと来ないと思います。ですが、意外と身近なものなのです。
例えば食事に行くと、ほとんどのお店の目立つ所に「当店のお米は国産米を使用しています」と書いてあるのに気が付きませんか。これは、店が国産米を使っていることをお客さんに告知することで自店のアピールをしている、というわけではありません。もしかしたら本当にアピール目的でやっている店もあるのかもしれませんが、今や、十数年に一度のコメ不足の時を除いてエスニック料理店でもなければ日本産以外のお米は滅多に使いませんからね。
これは、コメトレーサビリティ法という法律によって、買主に米の産地を伝えなければいけない義務があるからです。知ってましたか?
トレーサビリティシステムの目的
各トレーサビリティ法の1条に目的が書かれています。それぞれ少しずつ違ったことが書かれていますが、大体次の2点が目的となっています。
- 食品事故が起きた際における商品の回収や原因の究明の迅速化及び正確性を高めるため
- 食品の安全性や食品事故が起きた際における商品の回収や原因の究明の迅速化及び正確性を高めるため食品の安全性や品質、表示に対する消費者の信頼確保
やっていることはHACCPに非常に似通っています。昨今の食品偽装問題の楔となるべきものですが、まだ食品全体にトレーサビリティ法が確立しているわけではありません。
次に、現在すでに実施されている食品トレーサビリティの例を見てみます。
食品トレーサビリティ例
牛(牛肉)トレーサビリティ法
お肉になる前の生きている状態からトレーサビリティによる管理が義務付けられています。でないと生産地の偽装が容易にできてしまいますからね。以下、この法によって義務化されている内容となります。
① と畜者が義務付けられているもの
- と畜者の氏名及び連絡先、と畜場の名称及び所在地、当該牛の個体識別番号、とさつの年月日、譲渡先の名称及び連絡先を届け出ること
- 譲渡先に精製した肉とあわせ、個体識別番号又はそれに準ずる情報を表示すること
- 帳簿の備え付け
② 一般消費者への販売者が義務付けられているもの
- 固定識別番号の表示(ラベルや外箱、店頭ボード等)
- 帳簿の備え付け
③ 料理店で義務付けられているもの
- 固定識別番号の表示(店頭、メニュー表等)
- 帳簿の備え付け
米トレーサビリティ法
食用となるお米は基本的にすべて米トレーサビリティ法の管理が必須となります。逆に飼料や工業用途のものはこの法律による管理は必要ありません。また、食用の場合は取引がある度に必要情報を一定の方法で伝達しなければいけません。以下、義務化されている内容となります。
① 生産者及び業者間での取引の際に義務となるもの
- 品名、産地(国産・外国産等の分け方でも可)、数量、取引年月日、取引先名、搬出入した場所の記録(納品書に記載等の方法)
- 上記情報の伝達
② 一般消費者への取引の際に義務となるもの
- 産地情報の伝達(国産・外国産等の分け方でも可、店頭表示等の方法により伝達)
今回は此処までとします。次回もよろしくお願い致します。