こんにちは。行政書士の石濵です。今回は特定農地貸付という、いわば農業者以外への貸付制度についての説明をします。
この制度の根拠法令は「特定農地貸付に関する農地法等の特例に関する法律(以下、特農法)」となり、農地法の特別法という位置づけになります。この法令の趣旨は都市住民への趣味的な農地の貸付を行うためということです。小規模であれば宅地を一部家庭菜園にすればよいかもしれませんが、宅地という地目に合わせて固定資産税が課税される為、税金面で不利になってしまいます。
次に貸付けの方法を紹介します。
特定農地貸付の要件
特定農地貸付を行うには次のような要件を満たさなければなりません。
① 10アール未満の農地に係る農地の貸付で、相当数の者を対象として典型的な条件で行われるものであること
② 営利を目的としない農作物の栽培の用に供する為の農地の貸付であること
③ 5年を超えない農地の貸付であること
④ 農業協同組合が行う農地の貸付にあっては、組合員が所有する農地に係るものであること
⑤ 地方公共団体及び農業協同組合以外の者が行う農地の貸付にあっては、次のいずれかに該当する農地に係るものであること。
A その者が所有する農地
B その者が地方公共団体、農地利用集積円滑化団体又は農地中間管理機構から①~③までに掲げる要件に該当する農地の貸付の用に供すべきものとしてされる使用貸借による権利または賃借権の設定を受けている農地
特定農地貸付の方法
特定農地貸付けを行おうとする方は、その特定農地貸付けについて、申請書に貸付規定(地方公共団体及び農業協同組合以外のものにあっては、貸付け規定及び貸付協定)を添えてその特定農地貸付けに掛る農地の所在地を管轄する農業委員会(農業委員会等に相当する法律3条1項但し書き又は5項の規定により農業委員会を置かない市町村にあっては、市町村長。以下同じ。)に提出して、承認を求めることができます。
特定農地貸付規定に記載しなければならない事柄
特定農地貸付の申請をする際には、申請書の他に貸付け規定を作成しなければなりません。規定内に記載しなければいけない事項は以下のようになります。
① 特定農地貸付の用に供する農地の所在、地番及び面積
② 特定農地貸付を受ける者の募集及び選考方法
③ 特定農地貸付に係る農地の貸付の期間その他の条件
④ 特定農地貸付に係る農地の適切な利用を確保するための方法
⑤ 特定農地貸付の用に供する農地についての所有権又は使用及び収益を目的とする権利を有する場合はその権利について
⑥ 特定農地貸付の用に供する農地についての所有権又は使用及び収益を目的とする権利を有しない場合には、当該農園の所有者の氏名又は名称及び住所並びに当該農地について取得しようとする権利の種類
特定農地貸付協定に記載しなければならない事柄
① 地方公共団体及び農業協同組合以外の者が行う特定農地貸付の用に供される農地の管理の方法
② 農業用水の利用に関する調整その他地域の農業と特定農地貸付の実施と調整の方法
③ 地方公共団体及び農業協同組合以外の者が市町村に対して行う貸付協定の実施の状況についての報告に関する事項
④ 貸付協定に違反した場合の措置
⑤ その他必要な事項
今回は以上になります。次回もよろしくお願い致します。