こんにちは。行政書士の石濵です。今回も前回に引き続き農地関連のお話となります。前回は農地関連許可申請の種類と難易度を簡単に説明しました。今回は許可申請を個別に詳しく見ていきたいと思います。
農地法第3条に基づく許可申請
条文確認
農地法第3条許可申請は、農地に新たに権利を設定する場合や、権利が移転する場合に、管轄する農業委員会に対して行う許可申請でした。
まずは、条文の主要な部分を抜粋します。
農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借によ る権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する 場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。
なお、この内容の後に
①例外的に許可がいらない場合の規定
②許可権者が許可を出すことができない場合の規定
③②に該当するにも関わらず許可を出すことができる場合の規定
④農業委員会の判断に市町村長が意見を述べることができる旨の規定
⑤市町村長の意見を述べる際の条件に関する規定
⑥権利取得者が行う毎年の農業委員会への報告に関する規定
⑦この許可を受けずに当事者間で権利の設定、移転をしても効果が生じない旨
というような内容が記載されています。
さて、主要な要約すると、「農地又は牧草地に使用及び収益を目的とする権利を設定したり、売買等で移転する場合は農業委員会の許可を取ってください」ということになります。
通常の財産で有れば契約自由の原則によって、当人同士の話し合いで上記の権利設定、移転をすることができますが、農地法の目的である、「耕作者の保護及び食糧の確保のためには仕方ないのかもしれません。
許可権者
許可権者は条文にもあるように「農業委員会」です。どこの農業委員会でも良いわけではなく、その農地の場所を管轄している農業委員会となります。
例外規定
条文中に、この条文を適用しない例外規定(許可を必要とせず権利の設定、移転ができる)が記載してあります。主要なものだけを抜粋しますね。
・国または都道府県が権利を取得する場合
・土地収用法により収用される場合(収用事業目的でも売買等で取得すれば許可必要)
・遺産分割や相続により取得する場合(農業委員会への届け出は必要)
・離婚による財産分与についての裁判または調停により取得する場合
様式
添付書類
農地法第3条に基づく許可申請の際には以下の書類を添付しなければなりません。
- 土地の登記事項証明書(全部事項証明書に限る)
- 定款又は寄付行為の写し(法人の場合のみ)
- 組合員名簿又は株主名簿の写し(農事組合法人又は株式会社の場合のみ)
- 構成員が承認会社であることを証する書面及びその構成員の株主名簿の写し(農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法第5条に規定する承認会社が構成員となっている農地所有適格法人の場合)
- 権利を得ようとする者が乳牛、肉用牛を育成する事業を行う一般社団法人又は一般財団法人(令2条2項3号)である場合は規16条2項の要件を満たしていることを証する書面
- 使用貸借による権利又は賃借権の設定の許可を受けようとする者にあっては、法3条3項1号に規定する条件その他農地又は採草牧草地の適切な利用を確保する為の条件が付されている契約書の写し
- 景観法92条1項に規定する景観整備機構である場合には、同法56条2項の規定により市町村長の指定を受けたことを証する書面
- 3~7に該当しない場合は1、2いずれかに該当することを証する書面
- その他参考となるべき書類
いかがでしょうか。意外と自分で許可を申請するには難易度が高いかもしれません。そんな時はぜひプロである行政書士をご活用くださいませ。
では、今回はここまでです。次回もよろしくお願い致します。