こんにちは。行政書士の石濵です。先日、行政書士事務所を構えてから初めて内容証明の作成代理の依頼がありました。もともと事務所の業務メニューには記載していましたが、恥ずかしながら今まで生きてきて「内容証明」を作成したことが一度もなく勉強しながら作成しました。
 といっても特段難しいことではなく、決まった行数、文字数で3通のお手紙を書いて同じものを3通(送付用と自分の控え、郵便局の控え)用意し、郵便局に行ってお金を払って「内容証明出したいです。」といえば良いだけなので、特段難しいことはありません。
 では、内容証明とはどのような効果があり、何のために出すものなのでしょうか。一言でいうと「出した内容を郵便局が保管しますよ(あと、依頼人に控えも渡すし、同じものが郵送されたことを証明するよ)」というサービスです。
 大雑把すぎますかね。もう少し細かく見ていきましょう。

内容証明の効果(配送能力)

 内容証明の効果に触れる前に通常の普通郵便(定型・定型外)について確認します。ご存じの通り普通郵便は、封筒に手紙や資料なんかを入れて、定められた額の郵便切手代金を郵便局の窓口で支払うか郵送物に定められた額の郵便切手を貼ったうえでポストに投函すると相手に郵送した物が届くサービスです。大雑把に言えば、内容証明もこの原理は同じです。もっとも、内容証明はポストインすることはできませんけどね。
 ちなみに、内容証明郵便よりも速達やレターパックの方が早く相手に届きます。速達と同じようなスピード感を求める場合は速達と併用しましょう。

内容証明の効果(法的効果)

 やはり内容証明というとこの法的効果を期待しますよね。ですが、残念ながら、内容証明で送付された郵便物の内容そのものに法的な付与効果があるわけではありません。内容証明を送付する際に郵便局は内容が正しい、間違っている等の指摘をするわけではありません。
 ですが”内容証明は争訟の証拠になる”という言葉を小説やドラマで聞いたことはありませんか?これは内容に関することではなく、「郵便局は確かにこの内容の郵便物の郵送を承りました」という意味です。郵送物の内容について相手がしらばっくれても、郵便局には郵送物の写しが保管されていますので、争訟が起きた際には相手は無視できなくなります。
 ちなみに内容証明だけでは「そんな手紙届いていない」という相手の文句に対応できません。ですので内容証明にプラスして配達証明を利用するのが一般的です。配達証明を併用すると「郵便局は、確かにこの郵便物の郵送を承り、確かに相手に配送しました」ということの証明になるのです。

内容証明の効果(心理的効果)

 ぶっちゃけここが一番大きいのではないかと考えられます。普通の人が普通に生活していて内容証明を出す、受け取るというケースは稀なわけではありませんが、そう多くはないでしょう。それに小説やドラマ等の影響で「内容証明は弁護士なんかが扱う法律文書」と思っている人が少なからずいるのではないかと思います(ごめんなさい。調べてはいませんしソースもないです)。そのような人から見れば、普段から手紙や約束を無視しているような人でも、すぐに相手に連絡をするか、問題解決に向けて動きだすのではないでしょうか。
 僕は昔、食品工場を経営していましたが、何通か受け取ったことがあります。内容証明の通知人が弁護士なんかで、内容が「○○までに××しなければ法的に対処する」みたいな文章だと、怖くてご飯も食べられなかった事を思い出します。ちなみに、初めは逐一弁護士の先生に電話で対応策を聞いていましたが、最終的には内容次第で自分で相手弁護士に連絡して対応できるまでにはなりました。

 今回はここまでです。次回は内容証明を使う場面について書きたいと思いますので宜しくお願い致します。