こんにちは。行政書士の石濵です。今回は内容証明を作成する際のルールを解説します。
 ご存じのように内容証明の作成、送付に関するルールそのものは法律上の根拠があるわけではなく、日本郵便株式会社が定めています。(郵便法48条にて、内容証明郵便の定義と郵便認証司という国家資格を有する方に認証してもらうことだけは記載されていますが、、)。その定められたルールは内国郵便約款という、日本郵便株式会社が定め、総務大臣が認めた日本郵便株式会社内のルールブック(?)に記載されています。
 ただ、その内容すべてを解説することは非常に難しいので、かいつまんで説明します。もし興味のある方は日本郵便株式会社のHP内に内国郵便約款がありますので、一度確認してみるのも良いかもしれません。

内国郵便約款(日本郵便株式会社HPより引用)

内容証明の書き方

 まずは内容証明の書き方の解説をします。当たり前ですが、内容証明を書く前に必要に応じた内容をしっかりと作りこむことが必要となります。それには当該内容証明をもって自分はいったい何をしたいのかを明確にする必要があり、その部分は専門家を頼った方が早いケースが多いのかもしれません。内容証明を実際に作成するのはその後です。

参考 ハマログ”内容証明って何”
参考 ハマログ”内容証明を使う場面”

作成するのに必要なものは?

 手書きの場合は紙とボールペン、それから封筒と印鑑が必要となります。印鑑は特に定めがなく、シャチハタであってもそれが原因で内容証明の証拠能力が損なわれるケースは少ないと思います(シャチハタは柔らかいゴムで製造されており、劣化が激しく本人確認の証明等の用途には向きませんので、できる限り避けるのが望ましいです)。また、パソコン等で作成し印刷しても構いません。
 文房具屋等で”内容証明用紙”という赤い原稿用紙のようなものが売っていますが、大学ノートでもメモ帳でも、記載する用紙は何でも構いません。また、書く物も明確に定められているわけではありませんが、内容証明の利用する目的を考えると簡単に書き換えられる鉛筆や消えるボールペンは適さないと思います。特段の事情がない限り消えない普通のボールペン又はパソコン等の機器を用いて作成しましょう。

書き方のフォーマットは?

 縦書きでも横書きでも構いません。ですが、以下の内容だけは厳守しましょう。

① 冒頭又は文末に差出人及び受取人の名前と住所を記載する。

 差出人及び受取人の名前と住所の記載は義務となっているので必ず記載します。また、義務ではありませんが、作成した日付と名前の後に印鑑を押した方がいいでしょう。また、内容に入る前にあいさつ文を記載するかどうかは制限が無い為、どちらでも構いません。用途によってご検討ください。
 後ほど記載しますが、内容の訂正や、内容証明が複数にわたる際には印鑑を使用します。作成者が訂正した、又は複数枚の内容証明を作成したという証拠の為にぜひ押してください。

② 同じ内容のものを3通作成する

 自分の保管用、郵便局の保管用、送付用の3枚が必要となります。これらはすべて同文でなければ受け付けられません。これらはコピーでも構いません。

③ 1行20字以内、1枚26行以内で記載する(縦書きの場合)

 郵便局が保管をする為、保管しやすいようなフォームが定められています。なお、上記は縦書きの場合で、横書きの場合は「1行13字、40行以内」「1行26字、20行以内」でも構いません。
 また、句読点や記号も文字数に含みます。基本的には句読点や記号も1文字扱いですが、㎡やkg等2文字扱いとなる記号もあります。詳しくは下記をご確認ください。

日本郵便株式会社HPより 内容証明 ご利用の条件等

④ 日本語で書く

 内容証明は基本的には固有名詞を除き日本語のみ(アラビア数字、漢数字、記号はOK)となります。そもそも内容証明サービスは国内向けのサービスで海外に向けて発信することはできません。
 外国人の方でも作成は可能ですが、全文日本語で作成しなくてはなりません。ただ、外国人の多くは印鑑を所有していない為、訂正の場合や本文が複数枚にわたる場合の割り印はサインで代用することとなります。

⑤ 手紙以外は同梱できない

 内容証明は通常の郵便と違い、手紙以外の物の同梱はできません。内容証明本文に必要な添付資料であっても認められない為、個人的には少し残念なところだと感じます。

⑥ 本文が複数枚にわたる時は割り印が必要

 内容証明は複数枚にわたっても構いません。ですが、複数枚になる場合は一部の欠落を防止する為に糊付け又はホッチキスで閉じた上に、つなぎ目に割り印をする必要があります。なお、印鑑は差出人として署名の際に押印した場合は同じものを使用します。作成者と差出人が違う場合でも差出人の印になりますのでご注意ください。

⑦ 訂正する場合にはルールを守る

 内容証明は、通常の郵便と比べ証拠能力が高いことから改ざん防止の為にきちんとしたルールが定められています。ルールは以下の通りです。
 ⅰ.間違えた場所を2本線で消す
 ⅱ.修正箇所(または空きスペースに記載し矢印で場所指定)に文字挿入
 ⅲ.欄外に「○行○○字挿入・○○字加入」と記載
 ⅳ.ⅲ部分に差出人の印を押印
 ちなみにこちらのルールは内国郵便規約に記載がありますので興味がある方はご確認ください。

内国郵便約款(日本郵便株式会社HPより引用)

 今回はここまでです。次回は送付時のルール説明をしますので参考にしてください。
 それでは次回もよろしくお願い致します。