こんにちは。行政書士/社会保険労務士の石濵です。今回は「第三の遺族年金」と言われる寡婦年金について解説したいと思います。
 一家の働き手が傷病や事故等によって働けなくなる、あるいはなくなったしまった場合には労災保険、国民年金、厚生年金などから一定の保証があります。
 ただし、いずれの保険も受給する為に条件があり、いままで年金を払い続けてきたのに今すぐ受給できる年金がないケースもままあります。
 その救済の一つとして、寡婦年金というものが存在します。

寡婦年金を受給できる人ってどんなひと

 遺族基礎年金を受給するためには以下の条件をすべて満たさなければいけません。

  • 夫を亡くした妻であること
  • 亡くなった夫が国民年金の第一号被保険者(厚生年金に加入していなく、自ら国民年金保険料を支払っている者等)の被保険者期間が保険料納付済み期間と保険料免除期間とを合算した期間で10年以上あること
  • 亡くなった夫が保険料納付済期間又は学生納付特例期間及び納付猶予期間の保険料免除期間を有していること
  • 亡くなった夫が障害基礎年金の支給を受けていないこと
  • 亡くなった夫が老齢基礎年金の支給を受けていないこと
  • 亡くなった夫が死亡当時に妻の生計を維持していたこと
  • 亡くなった夫と妻の婚姻関係及び内縁関係が10年以上継続していたこと
  • 妻の年齢が65歳未満であること

 以上のすべてを満たす場合に限り寡婦年金を受給することができます。

 ただし夫の死亡を原因とする遺族基礎年金や自身の繰り上げた老齢基礎年金及び老齢厚生年金、特別支給の老齢厚生年金等との同時拾級はできないこととなっています。また、亡くなった夫を原因とする死亡一時金とも同時に受給することはできません。

寡婦年金はいつから支給されるの

 上記の要件をすべて満たしたとしても、寡婦年金の受給を即座に受けられるわけではありません。寡婦年金には年齢による制限があります。

寡婦年金の受給開始

 寡婦年金は、次のいずれかより受給することができます。

  1. 60歳未満で受給権を取得した場合
    →妻が60歳に達した日の属するときの翌月から
  2. 60歳以上で受給権を取得した場合
    →夫の死亡日の属する月の翌月から

 つまり、寡婦年金は少なくとも夫を亡くした妻が60歳にならなければ受給することができません。

寡婦年金の受給権の消滅

 寡婦年金を受給できる期間は限られています。以下に該当した場合は受給権は消滅します。何らかの理由で受給権が消滅した原因が解消したとしてもあたらに受給権は発生しません。

  1. 65歳に達したとき
  2. 婚姻(内縁関係含む)をしたとき
  3. 死亡したとき
  4. 直系血族又は直径姻族以外の者の養子となったとき
  5. 繰り上げの老齢基礎年金の受給の受給権を取得したとき

寡婦年金はいくら支給されるの

 寡婦年金は亡くなった夫が長年収めたにもかかわらず年金として受給できなかった年金の代わりという面が非常に大きくなります。ですので年金の支給額は実際に受給を受ける奥様の年金保険料支払い状況とは関係なく、亡くなった夫が国民年金の第一号被保険者として支払った年金保険料の支払期間によって変動します。

 具体的には以下のようになります。

 あくまでも支払ったのに受け取れなかった年金の代わりですので金額も少なくなります。

今回はここまでです、ご覧頂きありがとうございます。